気質について知る
気質に合ったことは、苦労に感じず生産性も高いが、 気質に合わないことは生産性が低いだけでなく、ストレスを感じる。
チームの気質の最適化は、すなわち適材適所である。
気質とは?
気質とは、チームが創られ成果を上げる過程で、チーム内の関係性に基づいて生まれるメンバーそれぞれが担う役割のこと。
チームの発生・成長過程と気質
-
人が集まる
人々がそれぞれの目的をもって行動した結果、何らかの関係性が生まれる。 -
目的、目標が与えられ、チームが生まれる<始める人>
人の集まりに共通の目的、目標が与えられることでチームになる。目的、目標に人が集まる場合もある。 -
計画が作られ、行動の準備が整う<設計する人>
チームの目的を達成するための計画が作られることで、達成に向けた行動が可能になる。 -
管理・支援により、動き出す<管理する人>
チームの行動が管理・支援されることで、メンバーが目標に向けて動き出す。 -
つなぐことにより、協力が生まれる<つなぐ人>
メンバーの関係を調整し、つなぐことで、メンバー間の協力が生まれる。 -
人を巻き込む行動により、障害を乗り越える<リーダー>
適切な人を巻き込んだ解決に向けた行動により、障害を乗り越えられるようになる。 -
集中力と技術力と持続力により、成果が生み出される<職人>
高い集中力と技術力と持続力を伴った行動により、成果が生まれる。
どんなチームも自然発生するわけではありません。
公園で缶蹴りをしていた子供たちが、自然と組織化してサッカーを始めJリーグ入りを目指すようなことは通常起こりません。
チームにはかならず始める人がいます。
始める人は、チームの目的・存在意義を創り、将来のビジョンを描き、チームにとって大切にすべき価値観を与えます。
共通の目的、ビジョン、価値観を持つ人々が集まり、はじめてチームが生まれます。
設計する人は目的を具体的な目標に落とし込み、さらに、どのような手段で目標を達成するのかを設計します。
設計する人はチームに戦略、戦術、計画をもたらします。
管理する人は、現場で使える人、物、金、情報を活用して、計画を遂行していきます。何としてでも目標を達成するため、進捗、課題、リスクを管理し、あらゆる手を尽くしてチームをサポートします。
管理する人はチームに目標を達成するための覚悟とそのための支援をもたらします。
複雑でままならない現場を動かす管理する人と、トップダウンで物事を考えシンプルに組み立てようとする設計する人はぶつかりがちです。そんな時に必要なのがつなぐ人です。
つなぐ人は人々の違いを寛容に受け入れ、共感し、すべての人に居場所を作り、前向きな雰囲気を作り、諍いに向けられていたエネルギーを目標の実現へと転換します。
それによりチームは効率よく持続的に活動できるようになります。
つなぐ人はチームに効率、一体感、包容力をもたらします。
職人は高い集中力と強いこだわりを持ち、チームによる成果の質と量を極限まで高め、チームの外側に価値を創造します。
職人はチームに成果とビジョンを実現する手段をもたらします。
チームが目標に向かって進み始めると、必ず問題、課題にぶつかります。
リーダーは現場の最前線で適切な人を巻き込んで課題を解決し、チームにとっての障害を駆逐し、不安定な要素を次々と取り除いていきます。
リーダーはチームに推進力と安定感をもたらします。
この6つの気質が備わった時、優れたチームはできあがります。
それぞれの気質
なぜなら、あなたも日常的に周囲の人達の気質に振り回されているのだから。
始める人
チームにおける役割
人が集まるビジョンを生み出し、ものごとをスタートアップさせる。
揺るぎない信念を持ち、信念に従い、様々なことを始めようとする。
カリスマ性がありチーム内外への大きな影響力を持っているが、目移りが激しく、周囲に混乱を巻き起こすことも多い。
特徴
人前で話すのが上手。周りの人をその気にさせる。
面白そうなことを思いつくと我慢できない。落ち着きがない。
アイデアが豊富。 独走、孤立しがちで、「自分は孤独だ」と零すが、それを自分で引き起こしているという自覚はない。
「始める人」から見た周りの人
- 始める人-> 始める人
- 関心はない。場合によっては競争相手になる。
- 始める人-> 設計する人
- 夢物語を事業に変えてくれる最も重要なパートナー。この人がいないと何も始まらない。
- 始める人-> 職人
- 何を言っているのか分からない。とりあえず褒めておこう。
- 始める人-> 管理する人
- 距離を置いてドライに見ている。成果が出れば信頼するし、成果が出なければ無能とみなす。
- 始める人-> リーダー
- 何をやっているのか分からない。とりあえず、感謝しておこう。
- 始める人-> つなぐ人
- 不思議な力で雰囲気を作ってしまう。魔法使いに見える。尊敬の対象。 コミュニケーションが足りないと敵対派閥を作っているように見える。
他の気質を持つ人から見た「始める人」
- 設計する人 ->始める人
- 自分にはない能力を持つ人。尊敬の対象。世の中に必要な人だ。
- 職人 ->始める人
- 苦手。自分の物差しでは測れない。夢物語ばかり語っている。
- 管理する人 ->始める人
- 何を言っているのか分からない。なぜ、今?それを始める?
- リーダー ->始める人
- 遠くの人。関心がない。
- つなぐ人 ->始める人
- 人をつなぐ理由を作ってくれる重要なパートナー。モチベーションに大きく影響する。
成熟の指標:一貫性、公共性、長期視点
成熟すると、ゆるぎない信念を持つようになり、始めることに一貫性が生まれる。 目的は公共性を持つようになり、多くの人は社会問題の解決を目指すことになる。 最終的には、あるべき社会の姿を構想し、慈善事業を始めることもある。
職種について
設計する人
チームにおける役割
設計する人 がいなければ具体的に何をして良いか分からず、行き当たりばったりになる。 地図を持たずに旅をするようなものである。そんなチームが目的地にたどり着く確率は限りなくゼロに近い。
設計する人は論理的思考により説得力のある方法を組み立て、目標の達成確率を最大化する。
チームの成果に対する貢献度は非常に大きいいっぽうで、イレギュラーに弱く、想定外のことが起こると対応できない。
特徴
思考に埋没することを好む。
戦略、設計、提案など、抽象的な物事を他人に説明できる形に落とし込むことが上手。
想定外、偶然、感情、管理する人を憎む。
「設計する人」から見た周りの人
- 設計する人-> 始める人
- 自分にはない能力を持つ尊敬の対象。世の中に必要な人だ。
- 設計する人-> 設計する人
- 最も会話がスムーズにできる。互いに認め合う。
- 設計する人-> 職人
- 目的達成の手段を与えてくれる重要なパートナー。戦略、計画に大きく影響する。
- 設計する人-> 管理する人
- 嫌い。計画に不満を言ってくる。自分の無能を棚に上げて計画のせいにする。
- 設計する人-> リーダー
- 救世主。計画に問題があっても、なんとか窮地から脱出してくれる。
- 設計する人-> つなぐ人
- 価値を感じない。論理的に説明がつかないため価値を理解することができない。
他の気質を持つ人から見た「設計する人」
- 始める人 ->設計する人
- 夢物語を事業に変えてくれる最も重要なパートナー。成否を直接左右する。
- 職人 ->設計する人
- 自分の能力を市場価値に転換してくれる、尊敬の対象。信頼が得られないと馬鹿にされる。
- 管理する人 ->設計する人
- 嫌い。無茶な計画を押し付けてくる。机上の空論を偉そうに語る。
- リーダー ->設計する人
- 次の戦場を決める人。どんなところでも、指示されれば行く。
- つなぐ人 ->設計する人
- 尊敬。頭が良すぎて何を言っているのか分からない。
成熟の指標:論理性、コミュニケーション、寛容さ
成熟すると、あらゆる視点から物事を考えられるようになり、説得力のある論理を組み立て、 分かり易く説明できるようになる。
また、相手の立場に立って考え、感情によるブレも受け入れられるようになると、現場の立場に立ち、 ゆとりのある実現性の高い計画が作れるようになる。 が、管理する人と仲良くすることは難しい。
職種について
職人
チームにおける役割
職人 はチームに成果とビジョンを実現する手段をもたらす。
興味の対象となる領域であれば疲れ知らず、いつまででも続けられる。やめろと言われるまでやっている。
ときに、指示されたことではなく自分の興味がおもむくままに行動し、周りを驚かせる。
特徴
努力を苦にしない。自分の知識欲と好奇心を満たすために情報を集めるため、知識も豊富。
視野が狭い、というよりも視野の外側には関心がない。興味の対象が一致しない人にも関心がない。
一般言語をあまり使わず、職能に最適化された特殊言語により思考するため、 仕事においては非常に効率が良いが、彼らからのメッセージを受け取ることができる人は多くない。
「職人」から見た周りの人
- 職人-> 始める人
- 苦手。自分の物差しでは測れない。夢物語ばかり語っている。
- 職人-> 設計する人
- 自分の能力を市場価値に転換してくれる、尊敬の対象。信頼が得られないと馬鹿にされる。
- 職人-> 職人
- 唯一言葉が通じる。盛り上がれる。
- 職人-> 管理する人
- メンバーとの意思疎通をサポートしてくれる、重要なパートナー。居場所を作ってくれる人。
- 職人-> リーダー
- 役割は違うが対等に協力し合う仲間。状況によっては自分に仕事を依頼してくる。
- 職人-> つなぐ人
- 癒し。分からなくても話を聞いてくれて共感してくれる。
他の気質を持つ人から見た「職人」
- 始める人 ->職人
- 何を言っているのか分からない。とりあえず褒めておこう。
- 設計する人 ->職人
- 目的達成の手段を与えてくれる重要なパートナー。戦略、計画に大きく影響する。
- 管理する人 ->職人
- ときどき信じられないパワーを発揮する、尊敬の対象。この人の能力を活かせるかどうかが成功の分かれ道。言葉が通じないので、苦悩させられる。
- リーダー ->職人
- 状況によっては成否の鍵を握る戦力となる救世主。
- つなぐ人 ->職人
- 難しすぎて何を言っているのか分からない。
成熟の指標:自信、こだわり、覚醒
こだわりが趣味の範囲を超えないうちは信頼を得ることができず、孤独になる。
周囲に認められ自信を持てるようになると、よりこだわりが強化され、こだわりがさらに成長を加速する。
一点突破で特定の領域を極めることで覚醒し、他の様々な領域を想像できるようになる。 広く深い洞察力を身につけ、チームの成果に多大な貢献をする。
職種について
管理する人
チームにおける役割
何としてでも目標を達成するため、進捗、課題、リスクを管理し、あらゆる手を尽くしてチームをサポートする。
管理する人は、 チームに目標を達成するための覚悟とそのためのサポートをもたらす。
チームの目標達成にすべてを捧げ、覚悟が足りない人を切り捨てることもある。
現実的で空論を嫌い、何としてでも成し遂げるという強い責任感と意志が彼らを突き動かしており、 空論を押し付けてくる(ように見えている) 設計する人と諍いを起こす。
特徴
責任感が強く、目的のためなら手段を選ばない。
目立つことよりも裏方を好むが、結果として目立ってしまうことが多い。
現実に基づかない空理空論と設計する人を憎む。
「管理する人」から見た周りの人
- 管理する人-> 始める人
- 理解不能で何を言っているのか分からない。混乱をもたらす迷惑な人。なぜ、今?それを始める?
- 管理する人-> 設計する人
- 嫌い。無茶な計画を押し付けてくる。机上の空論を偉そうに語る。
- 管理する人-> 職人
- ときどき信じられないパワーを発揮する、尊敬の対象。この人の能力を活かせるかどうかが成功の分かれ道。言葉が通じないので、苦悩させられる。
- 管理する人-> 管理する人
- 互いにアドバイスができる相手。時には陥れる対象になることも。
- 管理する人-> リーダー
- 現場の混乱を収拾してくれる重要なパートナー。目標達成のためのエース。
- 管理する人-> つなぐ人
- 話を聞いてくれる。人間関係を取り持ち、苦しい時に支えてくれる最後の砦。
他の気質を持つ人から見た「管理する人」
- 始める人 ->管理する人
- 距離を置いてドライに見ている。成果が出れば信頼するし、成果が出なければ無能とみなす。
- 設計する人 ->管理する人
- 嫌い。計画に不満を言ってくる。自分の無能を棚に上げて計画のせいにする。
- 職人 ->管理する人
- メンバーとの意思疎通をサポートしてくれる、重要なパートナー。居場所を作ってくれる人。
- リーダー ->管理する人
- 現場をサポートしてくれる人。尊敬の対象。ときに現場にストレスをまき散らす邪魔な人になる。
- つなぐ人 ->管理する人
- 現場にストレスをかける厄介者。この人がいつも笑っていれば、仕事は成功。
成熟の指標:想像力、引き出しの多さ、人間への理解
成熟すると、課題やリスクには常に先手を取れるようになり、目標達成が当たり前になる。
人間への理解が進むと、人の動かし方も上手になり、歴戦の勇者然とした雰囲気を持つようになる。
計画が良いのか、 管理する人 の能力なのか、手柄の取り合いになるため、 設計する人 との折り合いは常に悪い。
職種について
リーダー
チームにおける役割
リーダーは独自の勘でいち早く問題に気づき、 関係者を巻き込みつつ適切な行動を素早く起こす、チームのエンジンである。
常に現場の最前線で課題を解決し、チームにとっての障害を駆逐し、不安な要素を次々と取り除いていく。
リーダーはチームに推進力と安定感をもたらすが、 自分に厳しく手を抜くことを知らないため、放っておくと燃え尽きる。
特徴
目の前のことに持てるすべてのエネルギーを投入する。
判断が早い。行動も早い。関係者とのコミュニケーションを抵抗なく行うことができる。
常に現場の最前線にいることを好む。現場を離れると気が抜けてミスをする。
人間関係の問題をくだらないと感じ、派閥争いや陰口には近づかない。
「リーダー」から見た周りの人
- リーダー-> 始める人
- 遠くの人。関心がない。
- リーダー-> 設計する人
- 次の戦場を決める人。どんなところでも、指示されれば行く。
- リーダー-> 職人
- 状況によっては成否の鍵を握る戦力となる救世主。
- リーダー-> 管理する人
- 現場をサポートしてくれる人。尊敬の対象。ときに現場にストレスをまき散らす邪魔な人になる。
- リーダー-> リーダー
- ともに課題解決にとりくむ戦友。互いに助け合う。
- リーダー-> つなぐ人
- 課題解決のお膳立てをしてくれる、重要なパートナー。適切な人を巻き込めるかどうかに大きな影響を与える。
他の気質を持つ人から見た「リーダー」
- 始める人 -> リーダー
- 何をやっているのか分からない。とりあえず、感謝しておこう。
- 設計する人 -> リーダー
- 救世主。計画に問題があっても、なんとか窮地から脱出してくれる。
- 職人 -> リーダー
- 役割は違うが対等に協力し合う相手。状況によっては自分に仕事を依頼する。
- 管理する人 -> リーダー
- 現場の混乱を収拾してくれる重要なパートナー。目標達成のためのエース。
- つなぐ人 -> リーダー
- 何とか助けてあげたい。いつも全力で走っている、尊敬の対象。ときに、せっかくつないだ関係を壊す邪魔者になる。
成熟の指標:反射速度、無駄の少なさ、関係者からの信頼
成熟してくると、考える前に体が動くようになる。発する言葉はシンプルだが強い力を持つ。
さらに、関係者から信じられないような協力を取り付けてくる。
この人がいれば大丈夫、という安心感が生まれる。背中が大きい。
職種について
つなぐ人
チームにおける役割
それによりチームは効率よく持続的に活動できるようになる。
また、新しく加わったメンバーの居場所を作り、仲間として認められるまでフォローしてくれる。
つなぐ人 はチームに効率、一体感、包容力をもたらす。
雰囲気や関係性を調整する力を持ち、険悪な空気も、お祭りムードも一瞬でリセットするが、 その絶妙なコントロールも、ほとんどは無意識にやっている。
みんなの味方になろうとするため、派閥争いを助長することもある。
特徴
聞き上手。噂話が好きで世話焼き。誰とでも仲良くできる。
プライドに縛られる人を理解できない。
表情豊かで素直に感情を表現できる。
ただし、気分が落ち込むと周りに与える悪影響は計り知れない。
「つなぐ人」から見た周りの人
- つなぐ人-> 始める人
- 自分の居場所を作ってくれる重要なパートナー。モチベーションに大きく影響する。
- つなぐ人-> 設計する人
- 頭が良すぎて何を言っているのか分からない。尊敬の対象。
- つなぐ人-> 職人
- 難しすぎて何を言っているのか分からない。尊敬の対象。
- つなぐ人-> 管理する人
- 現場にストレスをかける厄介者。この人がいつも笑っていれば、仕事は成功。
- つなぐ人-> リーダー
- 何とか助けてあげたい人。いつも全力で走っている、尊敬の対象。ときに、せっかくつないだ関係を壊してしまう。
- つなぐ人-> つなぐ人
- 気が合う仲間。
他の気質を持つ人から見た「つなぐ人」
- 始める人 ->つなぐ人
- 不思議な力で雰囲気を作ってしまう。魔法使いに見える。尊敬の対象になる。 コミュニケーションが足りないと敵対派閥を作っているように見える。
- 設計する人 ->つなぐ人
- 論理的に説明がつかないため価値を理解することができない。
- 職人 ->つなぐ人
- 癒し。分からなくても話を聞いてくれて共感してくれる。
- 管理する人 ->つなぐ人
- 話を聞いてくれる。人間関係を取り持ち、苦しい時に支えてくれる最後の砦。
- リーダー ->つなぐ人
- 課題解決のお膳立てをしてくれる、重要なパートナー。適切な人を巻き込めるかどうかに大きな影響を与える。
成熟の指標:精神的安定感、傾聴、一貫性
場の雰囲気に敏感でストレスをため込みやすい。未熟なうちは情緒が不安定になりがち。
成熟してくると、ストレスへの対処法を身につけ、精神的に安定する。 自分の意見もはっきり言い、信頼されるようになる。
無意識に場の雰囲気を調整し、いるだけで価値を発揮する。