大義の効能
目的の無い組織は組織とは呼ばない
官兵衛は秀吉の命で朝鮮に向かいます。どうやら戦況は思わしくないようです。
現地に着くと、官兵衛の元に家臣が報告に来ます。
「殿、兵にまとまりがありません」
官兵衛は言います。
「それはな、この戦には大義が無いからじゃ」
実際にこんな会話があったのかどうかは定かでないが、大儀がなければやる気が出ないのは今も昔も同じだろう。
大義とは、目指すべき未来であり、行動の言い訳ではない。
組織とは、共通の目的を持ち互いに連携し協力し合う個の集まりのことだ。
目的があるから個は有機的に結びつき、組織を形成することができる。
したがって、組織に後から目的が作られることは組織の定義に基づけば、理論上ありえない。
道をふさぐ大きな岩を取り除きたい人が集まるから組織になるのであって、
公園でジョギングをしている人たちに「箱根駅伝優勝を目指そう!」と言ったところで、組織化したりしない。
けれども、実際には共通の目的がない企業は多い。
共通の目的がなければ、個々の目的を果たすこと以上の目的を持たない人々の集まりになるが、
それを本来組織とは言わない。
組織の内側にある目的は組織の目的とは言わない
組織の定義に従えば、組織の目的は、組織が作られる前に既に存在している。
したがって、組織の内側にある目的を組織の目的とは言わない。
(組織の内側にある目的とは、組織によって起こる変化の対象が自分たちになっている目的のことである)
また、組織の目的は組織の存在意義と直結していなければならない。
このことを踏まえて組織の目的をもう少し砕いていうと、「組織の外側に起こしたい変化」となる。
「日本一従業員にやさしい企業になる」は組織の外側にどんな変化をもたらすのかが分からないため、
組織の目的にはなれない。
「品質の良い車を製造する」も同様に組織の目的にはなれない。
(「製造する」は何かの目的を達成するための手段であって、目的ですらない)
組織の外側、通常は提供するサービスや商品を購入する人の生活をどのように変えるのかが語られているのが、
「組織の目的(使命、ビジョン)」である。
組織の目的は人を動機づける
昔々、ある町外れの道を旅人が歩いていると、一人の男がぶ然とした表情で、レンガを積んでいるのでした。
旅人が、男に向かって「何をしているのですか?」と尋ねると男は、
「見ればわかるだろう。レンガを積んでいるんだ。俺は、朝から晩までレンガを積まなければならないんだ。
年から年中、朝から晩までレンガ積みだ。こんなきつくてつまらない仕事、本当は辞めてしまいたいよ」
とぶっきらぼうに答えた。
旅人は、「そうですか。大変ですね」と男をねぎらって、歩き始めた。
旅人が少し歩くと、別の男がせっせとレンガ積みをしていた。
旅人が、男に向かって、「いったい何をしているのですか?」と尋ねるとその男は、
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事なんだ」と答えた。
旅人が「大変ですね」といたわりの言葉をかけると、男は、
「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。
ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。
俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べいくことに困らない。仕事があるだけありがたいよ」
と少し微笑みながら答えた。旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。
また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるので旅人が、その男に向かって、
「ここでいったい何をしているのですか?」と尋ねると、男は、嬉しそうに言った。
「俺はね、レンガを積んで大聖堂(教会)を造っているんだ!」
旅人が「大変ですね」といたわりの言葉をかけた。
すると男は、旅人に向かって満面の笑みを浮かべ、両手を広げながら自信満々に言った。
「とんでもない!この教会で多くの人が未来に祈りを捧げ、時には過去の罪を悔い改める。
結婚式をあげる人だっているんだ。私は人の未来をつくっているんだよ。」
イソップ童話より
組織の目的は応援者を集める
シューズメーカーのサッカニーの理念がカッコイイ。ランナーが我々を刺激し、新たなアイディアを運び、よりよくしてくれる。
彼らは我々のデザインや技術を作る。
彼らが我々を競争させ、ハングリーにさせ、誠実にさせる。
会議中やランチタイムだろうと、我々はスポーツ・ランナー・そして製品について常に話し合い、議論する。
我々は製品を愛し、何においても走り続ける。
このフォーカスと熱意は、この地球上で最高のランニングシューズやアパレルを製作するように我々を駆り立てる。
ランナーの走りをほんの少しでもよりよくすること。
これが我々の日々の仕事の全てである。
SAUCONYにおいて、GOOD DAYは我々が走り始めた時。
GREAT DAYは我々が人々を走るようにインスパイアした時。